蘆花会の活動履歴 - 蘆花会
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徳冨蘆花は明治元年(1868)の旧暦10月25日(新暦では12月8日)に生まれ、昭和2年(1927)9月18日に亡くなりました。60年の生涯でした。生まれは夏目漱石より1年遅く、死去は芥川龍之介の自裁した年の翌々月になります。
蘆花の7回忌を経た昭和9年(1934)に、愛子夫人をかこむ集まりから、関係者や愛好者を中心にして蘆花会が発足しました。その後蘆花の追悼と顕彰をする趣旨で、蘆花会編『徳冨蘆花 検討と追想』(昭和11年10月・岩波書店)が刊行されるとともに、三越百貨店の日本橋本店で「徳冨蘆花十周年記念展覧会」が蘆花会の協力のもとで開かれ、翌年には蘆花会編『徳冨蘆花十周年忌記念講演集』(昭和12年8月)が蘆花会の名目で刊行されました。
愛子夫人により敷地である恒春園が旧宅とともに当時の東京市に寄贈されたのも、同じく昭和12年(1937)9月です。蘆花会発足期の中心人物は恒春園の管理運営に尽力した後閑林平氏であり、上記2冊の編集と刊行にも努力されました。しかし当時は昭和6年(1931)に勃発した満州事変が拡大し、昭和12年7月7日の盧溝橋事件から上海事変と呼ばれる日中全面戦争が始まった年でもあります。4年後の日米開戦をはさむ戦時下と終戦直後の混乱期は思うような活動ができませんでした。
戦後最初の主な催しには、昭和32年(1957)の蘆花逝去30年を記念する講演会と展覧会がありました。また昭和36年(1961)には、東京都により蘆花記念館が建設され開館しました。後閑林平氏が昭和39年(1964)に死去したのちは、蘆花の縁者であった浅原丈平氏(蘆花の姉初子の姪の夫君)が蘆花会を再興しました。その後は昭和43年(1968)の蘆花生誕百年記念の展覧会(東京都近代文学博物館)と講演会(岩波ホール)が催されました。
蘆花会の代表は昭和42年(1967)に浅原丈平氏が他界されて以後、横山春一氏、浅原健氏、尾間信彦氏、愛知教育大学教授吉田正信氏と引き継がれました。吉田正信氏が平成28年(2016)5月に死去したあとを、佐久間保明が継いでおります。この間の主な活動は9月の蘆花の命日にちなんで、「徳冨蘆花をしのぶ集い」と銘打ち献花と講演会を続けてきたことです。当初は忌日の9月18日に行われましたが、現在は同月の第3土曜日に梅花書屋と名付けられたかやぶきの家屋を舞台に催しています。
平成29年(2017)には、しばらく懸案であった法人化への動きを進めました。それまで任意に実績を重ねてきた蘆花会を法的な公認の団体として、その社会的な意義を示すためです。同年9月に会員の協力を得て東京都に申請し、翌平成30年(2018)1月に認可されました。これは正式には特定非営利活動法人と言い、いわゆるNPO法人と呼ばれるものです。法務省の登記も済み、現在は内閣府のウェブサイトにも搭載されています。翌年の令和元年(2019)6月には公式ウェブサイトいわゆるホームページを開設しました。
「徳冨蘆花をしのぶ集い」における近年の講師とその演題を示すと次のようになります。
平成15年(2003) | 関口 安義 「謀叛論」の波紋 |
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平成16年(2004) | 江刺 昭子 蘆花の女性観―「不如帰」を中心に― |
平成17年(2005) | 佐伯 彰一 人間蘆花―その厚みと面白さ― |
平成18年(2006) | 竹盛 天雄 写すことと語ること―「みみずのたはこと」を再読して― |
平成19年(2007) | 渡辺 勲 「みみずのたはこと」と養女・蘆花 |
平成20年(2008) | 太田 雅夫 蘆花と同志社人脈 |
平成21年(2009) | 鵜殿 昭 『新春』と伊香保 |
平成22年(2010) | 半藤 英明 蘆花と熊本 |
平成23年(2011) | 吉田 正信 蘆花徳冨健次郎と小説『寄生木』 |
平成24年(2012) | 和田 守 徳富家をめぐって |
平成25年(2013) | 西田 毅 『黒い眼と茶色の眼』の青春―史実とフィクションのあいだ― |
平成26年(2014) | 榎本 隆司 人間蘆花―「吾が初恋なる『自然』」― |
平成27年(2015) | 山田 有策 『不如帰―悲劇(メロドラマ)の発生―』 |
平成28年(2016) | 佐久間 保明 『自然と人生』の成功 |
平成29年(2017) | 中島 礼子 徳冨蘆花と国木田独歩 |
平成30年(2018) | 布川 純子・峯岸 英雄・平石 岳 『不如帰』をもう一度 |
令和元年(2019) | 布川 純子・峯岸 英雄・平石 岳 青春の一冊『思出の記』 |
令和2年(2020) | 中止(新型コロナウィルス感染拡大防止のため) |
令和3年(2021) | 中止(台風接近のため) |
令和4年(2022) | 高橋 広満 蘆花自伝小説における元号の力―『冨士』を中心に― |
令和5年(2023) | 尾形 明子 『不如帰』のモデル-大山捨松と渡辺とめ子 |
なおこれ以外の活動として、最近は2月の第3土曜日に「愛子忌」として愛子夫人居宅で講演会を催しています。また「蘆花文学セミナー」という講読会を春と秋に連続して行うだけでなく、平成30年から公園を訪れた方々に蘆花に関する説明や案内を「ガイドツアー」と称して運営委員が行っています。
令和3年(2021)より会報「蘆花会通信」を会員の皆様にお送りしています。バックナンバーはこちらをご覧ください。